ITmedia:「YouTube人気動画リンク集」は合法か
最近、何かと話題となるYouTube。これだけ話題となるとYouTubeにアップされた動画にリンクを貼るサイトも当然、膨大な数となるわけだが、小倉秀夫弁護士がYouTubeにアップされている著作権侵害動画にリンクを貼る事は「自動公衆送信権侵害のほう助」となる可能性を指摘している。
確かに明らかな著作権侵害動画へのリンクは著作権的にグレーゾーンであると感じてはいたが、かといって著作権侵害物へのリンクを違法としてしまうとそもそもインターネットによる情報公開が非常に危険な事となる。例えば、どこかのブログ記事に興味深い事が書かれていると思いリンクを貼ったが、実はそのブログ記事は雑誌からの転載だったという事も充分にありうる。もちろん、故意でなければ問題無いという論点もあろうが、リンク先が著作権侵害コンテンツであると知って故意にリンクを貼ったという事を、リンクを貼った本人以外が判断するのは難しい。このような曖昧な法運用は危険となりうる。
また、同記事において白田秀彰助教授が「著作権法が現在のネット社会に合わなくなってきているのではないか」との指摘があるが、この点については以前の記事(JASRAC・テレビ局がYouTube動画3万件を削除申請)でも書いた通り、私も非常に似た考えを持っている。もちろん、著作権の必要性は理解しているつもりであるし、自らの著作物が法律で保護され、それによって正当な対価や名声を得られるようにする事は著作者のモチベーションを高める重要な要因であろうから著作権は無くてはならない権利だと考える。
しかし、現状では創作者のモチベーションを高めるプラスの効果よりも、既得権益により成功者を固定してしまうマイナスの効果の方が大きいと思われる。このマイナス効果を表す顕著な事件としてJASRACが著作権による保護期限を著作者の死後50年から70年に延長するよう要請した事例があげられる。この事件は著作者を尊重しているというよりも、明らかにJASRACという著作権団体による既得権益の維持を目的としていると考えられる。
つまり、既得権益者が著作権に関して柔軟な発想を持つ事ができなければ、日本からウェブを引っ張る企業が現れる可能性は極めて低いと言わざるを得ない。その点からも、YouTube動画へのリンクだけで罪に問うのはもってのほかであると言える。